COPD(慢性閉塞性肺疾患)
COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは、主にタバコの煙などの有害物質を長期間にわたり吸入することで、気管支や肺に慢性的な炎症が起こり、空気の通り道(気道)が狭くなったり、肺胞が壊れたりして、呼吸がしづらくなる病気です。以前は「肺気腫」や「慢性気管支炎」と呼ばれていた疾患を含みます。
患者さんの90%以上に喫煙歴があることから、「肺の生活習慣病」とも呼ばれています。
日本国内の推定患者数は約530万人とされていますが、実際に診断を受けている方は約22万人にとどまっており、多くの方が気づかないまま過ごしています。早期発見・早期治療が非常に重要な病気です。
COPDの症状
- 階段や坂道での息切れ
- 慢性的な咳
- 痰がからむ
- 「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という呼吸音(喘鳴)
- 疲れやすさ
- 体重減少
初期の段階では自覚症状がほとんどないことが多く、「年のせい」「体力が落ちただけ」と見過ごされがちです。症状がゆっくりと進行するため、気づいたときにはかなり病状が進んでいるケースも少なくありません。
COPDの原因
COPDの最大の原因は長期間の喫煙です。喫煙者の約15〜20%がCOPDを発症するとされており、高齢の喫煙者では約50%にCOPDが認められるという報告もあります。
ご自身がタバコを吸わなくても、受動喫煙が原因となることがあります。そのほか、大気汚染や職業上の粉塵・化学物質への曝露もリスク要因となります。
40歳以上の方に多く、加齢とともに発症リスクが高まります。
COPDの合併症
肺がん
COPDの患者さんは肺がんの発症リスクが高いことが知られています。定期的な検査による早期発見が大切です。
心血管疾患
COPDが進行すると、心不全や心筋梗塞、動脈硬化などの心血管疾患を合併しやすくなります。当院では循環器内科の専門医が在籍しておりますので、心臓や血管に関する合併症にも対応可能です。
その他
骨粗鬆症、糖尿病の悪化、うつ病なども合併しやすいことが報告されています。COPDは肺だけの病気ではなく、全身に影響を及ぼす疾患です。
COPDの検査
呼吸機能検査(スパイロメトリー)
肺活量や1秒量を測定し、気流制限の有無を評価します。1秒率が70%未満であればCOPDと診断されます。
胸部レントゲン検査
肺の状態を確認し、肺がんや肺炎など他の疾患との鑑別を行います。
血液検査
炎症の程度や全身の状態を評価します。
SpO2(経皮的酸素飽和度)測定
指先のセンサーで血液中の酸素レベルを簡便に確認します。
当院ではこれらの検査を院内で実施できるため、受診当日に診断・治療方針の説明が可能です。
COPDの治療
禁煙
COPDの進行を遅らせるために最も重要で効果的な治療です。何歳であっても禁煙による効果は期待できます。当院では禁煙外来を行っておりますので、ご自身での禁煙が難しい方もお気軽にご相談ください。保険適用で治療できる場合があります。
吸入薬による薬物療法
COPDの薬物治療の中心は吸入薬です。患者さんの重症度や症状に合わせて、気管支を広げるお薬を処方します。
- 長時間作用型抗コリン薬(LAMA)
- 長時間作用型β2刺激薬(LABA)
- 吸入ステロイド薬(ICS)
吸入薬は正しい吸入方法でないと十分な効果が得られません。当院では吸入指導を丁寧に行い、正しく使えているか定期的に確認いたします。
運動療法・呼吸リハビリテーション
息切れを避けるために活動量を減らすと、体力や筋力がさらに低下し、息切れが悪化するという悪循環に陥ります。無理のない範囲でのウォーキングなどの運動を継続することが大切です。
ワクチン接種
インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種は、感染による増悪を予防するためにCOPD患者さん全員に推奨されています。当院で接種可能です。
在宅酸素療法(重症の場合)
重症のCOPDで呼吸不全をきたした患者さんには、ご自宅で酸素を吸入する在宅酸素療法(HOT)をご案内する場合があります。必要に応じて連携医療機関へのご紹介も行います。
喘息とCOPDの合併(ACO)について
COPDと気管支喘息は別の疾患ですが、両方の特徴を併せ持つACO(Asthma-COPD Overlap)と呼ばれる病態の方も少なくありません。ACOの場合、COPDの治療だけでは十分な効果が得られないことがあり、喘息に対する吸入ステロイド薬の併用が重要です。当院では呼吸器専門医がCOPDと喘息の両面から正確に診断し、最適な治療を行います。
「長引く咳が気になる」「階段で息切れするようになった」「タバコをやめたいけど自分では難しい」――そのようなお悩みがございましたら、どうぞお気軽に当院にご相談ください。呼吸器専門医・循環器専門医が連携し、一人ひとりに合った治療をご提案いたします。
