吸入器の正しい使い方 ― タイプ別のコツとうがい
「薬が効かない」と感じている方の中に、実は薬ではなく吸い方に原因がある方が少なくありません。吸入薬は、正しく吸えて初めて効く薬です。
- 吸入器はタイプによって吸い方がまったく違います。
- 薬が肺に届いているかどうかで、効果は大きく変わります。
- 吸入後のうがいは「ブクブク」と「ガラガラ」の両方を行うのが理想です。
三つのタイプと、それぞれのコツ
粉末タイプ(DPI)は、自分の吸う力で薬を肺まで運びます。コツは「速く、強く、深く」吸うこと。勢いよく吸い込まないと粉が細かく砕けず、のどに落ちてしまいます。吸う力が弱い方や高齢の方には向かないことがあります。
スプレータイプ(pMDI)は、ボタンを押すと霧が噴射されます。こちらは逆に「ゆっくり、深く」吸います。押すタイミングと吸うタイミングを合わせる必要があり、これが難しい方にはスペーサー(補助器具)を使うと確実になります。
ミストタイプ(SMI)は、細かいミストが約1.5秒かけてゆっくり出続けます。噴射がゆっくりなので、タイミングを合わせるのが苦手な方にも使いやすいのが特徴です。
どのタイプにも共通する基本
吸入の前に、まず息を吐いておくこと。肺を空にしておかないと、十分に吸い込めません。ただし吸入器に向かって息を吐くと、粉末タイプでは薬が湿って固まってしまうので、必ず吸入器から口を離して吐いてください。
吸い込んだあとは、5秒ほど息を止めます。これで薬が気道の壁に沈着します。すぐ吐き出すと、せっかく吸った薬が出ていってしまいます。
2回吸入する指示がある場合は、1回目と2回目の間に少し間隔をあけてください。
吸入後のうがい ― 二種類必要です
吸入ステロイド薬を使ったあとは、必ずうがいをします。口やのどに残った薬が、口の中のカビ(口腔カンジダ症)や声がれの原因になるためです。
ポイントは二種類のうがいを行うこと。まず「ブクブクうがい」で、口に水を含み頬を膨らませて口の中全体をすすいで吐き出す。次に「ガラガラうがい」で、のどの奥に残った薬を洗い流す。この順番で行うと効果的です。
外出先などでうがいができないときは、水やお茶を飲むだけでも構いません。何もしないよりずっと良い対応です。
残量の確認を習慣に
吸入器にはカウンターが付いているものが多くあります。残りが少なくなってきたら、早めに受診・処方の準備をしてください。
カウンターがゼロになっても、器具を振ると音がしたり、噴射されたりすることがあります。しかしそれは薬が出ていない「空打ち」であることが多く、効いていない状態です。カウンターを信じてください。
正直、吸入は面倒です。僕もそう思います。だからこそ「正しく、最小限の手間で」続けられる形を一緒に探します。うまく吸えないのは、あなたのせいではなく、道具選びの問題のことも多いのです。
よくあるご質問
吸ったのに味も何も感じません。効いていますか?
粉末タイプでは味を感じにくいものもあり、それ自体は問題ありません。ただし本当に吸えていない可能性もあるため、一度手技を確認させてください。
スペーサーは必要ですか?
スプレータイプでタイミングを合わせるのが難しい方、お子さん、高齢の方では有用です。薬が確実に肺に届きやすくなります。
吸入器はどう保管すればいいですか?
高温多湿を避け、風呂場などには置かないでください。粉末タイプは特に湿気に弱く、湿ると固まって吸えなくなります。
この記事は、東松戸クリニックの喘息情報ライブラリ「喘息を知る」の収録記事です。
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監修:東松戸クリニック 院長 中島 佑樹(日本内科学会 総合内科専門医/日本循環器学会 循環器専門医)
