大人になって突然、喘息になるのはなぜ?
「子どものころは何ともなかったのに、40代になって急に咳が止まらなくなった」——外来でとてもよく聞く言葉です。喘息は子どもの病気というイメージがありますが、実際には大人になってから始まる方がたくさんいます。
- 喘息は大人になってから発症することが珍しくありません。40代・50代で初めて診断される方も多くいます。
- 原因はアレルギーだけではなく、感染・喫煙・肥満・ホルモンの変化・職場の環境などが引き金になります。
- 大人の喘息は自然に治ることが少ないため、早く見つけて治療を始めることに意味があります。
喘息は「子どもの病気」ではありません
喘息と聞くと、小児喘息のイメージから「子どもがかかる病気」と思われがちです。しかし実際には、成人になってから初めて発症する方が数多くいらっしゃいます。40代・50代で初めて診断される方も、70代で診断される方もいます。
小児喘息は成長とともに症状が落ち着くことが多いのに対して、大人になってから発症した喘息は自然に治ることが少ないという特徴があります。「そのうち治るだろう」と様子を見ているうちに、何年も咳と付き合ってしまう方が少なくありません。
なぜ大人になってから始まるのか
喘息は、気道(空気の通り道)に慢性的な炎症が起きて、刺激に対して敏感になっている状態です。この炎症が始まるきっかけは一つではありません。
アレルギーが関わるタイプでは、ダニ・ハウスダスト・ペット・カビ・花粉などが引き金になります。子どものころは平気だったものに、大人になってから反応するようになることもあります。
一方で、アレルギー検査では何も出ないタイプの喘息もあります。こちらは風邪などの感染をきっかけに始まる、喫煙や受動喫煙が関わる、肥満が関わる、女性ホルモンの変化が関わるなど、さまざまな背景があります。
職場の環境が原因になることもあります。粉じん、化学物質、塗料、小麦粉、動物を扱う仕事などで、仕事の日だけ症状が悪くなる場合は職業性喘息を疑います。
大人の喘息が見逃されやすい理由
大人の喘息は、ヒューヒューという音(喘鳴)が出ないまま、咳だけが続くかたちで始まることがよくあります。この場合「風邪が長引いている」「疲れているだけ」と思われて、診断までに時間がかかります。
また、大人は仕事や家事を優先して受診を後回しにしがちです。市販の咳止めでしのいでいるうちに、気道の炎症だけが静かに進んでしまうことがあります。
放置してはいけない、はっきりした理由
気道の炎症が長く続くと、気管支の壁が厚く硬くなっていく「リモデリング」という変化が起こります。これは一度進んでしまうと、完全には元に戻りません。
つまり、喘息の治療は「今の咳を止める」ためだけのものではなく、「将来の肺の機能を守る」ためのものでもあります。早く治療を始めた方が、その後の経過が良いことが分かっています。
「大人になってから喘息なんて」と驚かれる方に、僕は毎週のようにお会いします。驚くのが普通です。でも、珍しくはありません。だからこそ、この記事を書きました。
よくあるご質問
大人になってからの喘息は治りますか?
「完全に治る(薬がいらなくなる)」方は多くありませんが、治療を続けることで症状のない状態を保ち、普通に生活できる方がほとんどです。治療の目標は「発作を起こさず、健康な人と変わらない生活を送ること」です。
アレルギー検査で何も出ませんでした。それでも喘息ですか?
はい、あり得ます。アレルギーが関わらないタイプの喘息(非アトピー型)は大人に多く、成人喘息のかなりの割合を占めます。アレルギー検査が陰性でも、呼気NO検査や呼吸機能検査で診断できることがあります。
一度始めたら、薬は一生続けるのですか?
状態が安定すれば、医師の管理のもとで薬を減らしていく(ステップダウン)ことは可能です。ただし自己判断での中止は再発の大きな原因になります。減らしたいときは必ずご相談ください。
この記事は、東松戸クリニックの喘息情報ライブラリ「喘息を知る」の収録記事です。
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監修:東松戸クリニック 院長 中島 佑樹(日本内科学会 総合内科専門医/日本循環器学会 循環器専門医)
