足のむくみ(浮腫)|受診の目安と原因を専門医が解説
東松戸クリニック副院長の中島佑樹です。
「夕方になると靴がきつくなる」「靴下の跡がなかなか消えない」……。 そんな足のむくみを感じたとき、多くの方は「立ち仕事のせいかな」「塩分を摂りすぎたかな」と、体質や生活習慣のせいにしてしまいがちです。
確かに一時的なむくみも多いのですが、なかには心臓や腎臓、肝臓といった大切な臓器からのSOSが隠れていることもあります。 当院では、総合内科としての広い視野で全身をチェックするとともに、循環器の専門外来では「超音波専門医」として精度の高い心臓検査を行い、むくみの根本原因を突き止めます。
受診の目安:どのようなときに相談すればいいですか?
「ただのむくみで受診してもいいのかな」と迷われる必要はありません。以下のような変化があれば、一度ご相談ください。
- 数日で急に足がパンパンに腫れてきた
- 指で数秒間押すと、凹んだままなかなか戻らない
- むくみと一緒に、以前より息切れや疲れやすさを感じる
- 寝ているときに咳が出たり、息苦しくて目が覚めたりする
- 片方の足だけが明らかに赤く腫れたり、痛みがあったりする
むくみは全身の状態を映し出す鏡のようなものです。早めのチェックが安心に繋がります。
よくあるむくみのパターン
むくみの現れ方によって、原因のヒントが見つかることがあります。
- 両足が均等にむくむ: 心臓、腎臓、肝臓、あるいはホルモンバランスや内服薬が関係していることが多いです。
- 片方の足だけがむくむ: 足の血管(静脈)の詰まりや、リンパの流れの滞りが疑われます。
- 朝は平気だが夕方にひどくなる: 重力の影響や静脈の弁の機能低下、または心不全の初期症状でも見られます。
足のむくみで考えられる主な疾患
当院では、幅広い可能性を一つずつ丁寧に検討していきます。
心不全(しんふぜん)
心臓のポンプ機能が低下し、血液がスムーズに循環せず水分が溜まってしまう状態です。
- 特徴: 足の両側がむくみ、動いた時の息切れや、夜間に横になると苦しいといった症状を伴います。
- 当院での対応: 私は「日本超音波医学会認定 超音波専門医」として、これまで数多くの心エコー検査を行ってきました。当院ではこの専門性を活かし、心臓の壁の厚さ、動き、弁の状態をミリ単位で詳細に評価します。心不全が隠れていないかを非常に高い精度で診断することが可能です。
腎疾患(腎不全・ネフローゼ症候群など)
血液をろ過する腎臓の機能が落ち、塩分や水分が体に溜まってしまう状態です。
- 特徴: 足だけでなく、朝起きた時にまぶたが腫れたり、おしっこの量が減ったり、泡立ちが気になったりします。
- 当院での対応: 尿検査や血液検査を行い、タンパク尿の有無や腎臓の数値を速やかに確認します。総合内科として、高血圧や糖尿病などの基礎疾患を含めたトータルな管理を行います。
肝疾患(肝硬変など)
肝臓でつくられる「アルブミン(水分を血管内に保持するタンパク質)」が減ることで起こります。
- 特徴: むくみに加えて、お腹が張る(腹水)、体が黄色くなる(黄疸)、疲れやすさなどが現れます。
- 当院での対応: 血液検査で肝機能やタンパク質の数値を調べ、腹部エコー検査で肝臓の状態や腹水の有無を確認します。
下肢静脈瘤・深部静脈血栓症
足の血管(静脈)のトラブルで、血液が心臓に戻りにくくなる状態です。
- 特徴: 静脈瘤では足の血管がボコボコと浮き出て疲れやすくなります。血栓症では突然片足だけが腫れ、痛みを伴うことがあり、注意が必要です。
- 当院での対応: 血管エコー検査で、血管内に血栓がないか、弁の逆流がないかを詳しく調べます。緊急を要する血栓症の場合は、迅速に専門病院へ橋渡しをします。
薬剤性浮腫
血圧のお薬(カルシウム拮抗薬)や痛み止め(痛み止め)などの副作用でむくみが出ることがあります。
- 特徴: お薬を飲み始めてから、あるいは量を増やしてからむくみが目立つようになります。
- 当院での対応: 現在服用中のお薬(お薬手帳)を確認し、むくみの原因となる可能性がないかを検討します。必要に応じて、お薬の種類を変更するなどの調整を行います。
すぐに受診、または救急相談すべきサイン
以下の症状がある場合は、重篤な状態の可能性があります。
- 片方の足だけが急激に腫れ、強い痛みや赤みを伴う(深部静脈血栓症の疑い)
- むくみと一緒に、激しい息切れや胸の痛みがある(急性心不全や肺塞栓症の疑い)
- おしっこが半日以上ほとんど出ない(急性腎不全の疑い)
当院での診察・検査の流れ
むくみの原因は多岐にわたるため、順を追って全身をチェックします。
- 丁寧な問診と診察
いつから、どこが、どのようにむくむのかを伺います。また、全身の診察(聴診や足の触診)を行います。 - 血液検査・尿検査
腎臓、肝臓、心臓の数値、タンパク質やホルモンのバランス、炎症の有無を確認します。 - 超音波(エコー)検査
心臓超音波検査を行い、心機能に異常がないかを詳細に診断します。また、必要に応じて腹部や足の血管のエコーも行います。 - 診断と治療
原因に応じたお薬(利尿薬など)の処方、塩分制限のアドバイス、弾性ストッキングの検討など、お一人おひとりに合わせた解決策をご提案します。
治療の考え方:全身をトータルに診る
足のむくみは、単に「水分を抜けばいい」というものではありません。大切なのは「なぜ水が溜まっているのか」という大元の原因を突き止めることです。
当院は総合内科として、一つの臓器だけでなく全身のバランスを診ることを大切にしています。超音波専門医としての「心臓を診る確かな目」と、内科医としての「全身を診る広い視野」を組み合わせることで、見逃しのない、納得感のある医療を提供したいと考えています。
よくある質問
Q:「立ち仕事のせい」だと思っていましたが、受診してもいいですか?
A. もちろんです。生活習慣が原因だとしても、まずは裏に深刻な病気が隠れていないかを確認することが大切です。異常がないと分かるだけでも、日々の安心に繋がります。
Q:どのような検査をしますか?痛い検査はありますか?
A. 主に尿検査、採血、エコー検査です。エコー検査はゼリーを塗って機械を当てるだけですので、痛みは全くありません。ご安心ください。
Q:塩分を控えれば治りますか?
A. 塩分制限は多くの場合有効ですが、原因によってはそれだけでは不十分なこともあります。まずは現在の体の状態を知るために、一度ご相談ください。
Q:漢方薬で治療することはできますか?
A. むくみの原因によりますが、補助的な治療として漢方薬を併用することも可能です。ご希望があれば診察時にご相談ください。
最後に:その「むくみ」、放っておかないでください
足がむくんでいると、体が重たく感じて活動する意欲も削がれてしまいますよね。 むくみの原因をはっきりさせ、適切な対処をすることで、足だけでなく心も体も軽やかに過ごせるようになります。
私たちは、皆さんの不安に寄り添い、丁寧にお話を聞くことを大切にしています。「これくらいで……」と思わずに、まずは一度、当院へお顔を見せにいらしてください。
