心雑音
「健診で心臓の音が変だと言われた」「心雑音があると指摘されたが、症状は何もない。このまま放置していいの?」
心雑音とは、聴診器で心臓の音を聞いたときに、通常の「ドクン、ドクン」以外に聞こえる異常な音のことです。健診や他院の診察で初めて指摘されて、不安を感じている方も多いと思います。
心雑音のすべてが病気のサインではありません。しかし、なかには弁膜症などの心臓の病気が隠れていることもあり、適切な評価なしに「大丈夫」とは言い切れません。まず心エコー検査で原因を確認することが大切です。
心雑音には「心配のいらない雑音」と「検査が必要な雑音」があります
機能性(無害性)雑音── 病気ではない
心臓の構造に問題がないのに、血液が勢いよく流れる際に生じる音です。子どもや若い方、貧血・発熱・妊娠中など心臓が普段より多く働いている状態のときに聞こえることがあります。治療は不要で、経過とともに自然に消えることも多いです。
器質性雑音── 弁膜症など心臓の異常が原因
心臓の弁がうまく開かなかったり(狭窄)、きちんと閉まらなかったり(逆流)することで生じる音です。自覚症状がない段階から雑音が聞こえることが多く、「症状がないから大丈夫」とは言えません。放置すると心臓への負荷が積み重なり、気づかないうちに病気が進行するケースがあります。
| 雑音の種類 | 特徴と主な原因 |
|---|---|
| 機能性(無害性)雑音 | 心臓の構造は正常。貧血・発熱・妊娠・子どもに多い。治療不要。 |
| 大動脈弁狭窄症による雑音 | 弁が硬くなり血液が通りにくくなる。高齢者に多い。 |
| 僧帽弁閉鎖不全症による雑音 | 弁がきちんと閉まらず逆流する。息切れ・動悸のきっかけになる。 |
| 大動脈弁閉鎖不全症による雑音 | 大動脈弁からの逆流。長期間無症状のまま進行することがある。 |
| 僧帽弁狭窄症による雑音 | 弁の開きが悪くなる。心房細動・息切れをきたしやすい。 |
| 先天性心疾患による雑音 | 心臓の壁や血管に生まれつきの異常がある(心房中隔欠損など)。 |
※ 上記はあくまで代表的な例です。実際には心エコー検査で種類・程度を確認する必要があります。
このような方は早めに受診してください
- 健診・他院で「心雑音がある」と言われたが、その後検査を受けていない
- 心雑音を指摘されており、息切れ・動悸・胸の圧迫感・足のむくみのいずれかの症状がある
- 「問題ない」と言われたが、何年も経過している
- 子どもが心雑音を指摘された
- 家族に心臓病の人がいる
心エコー検査で原因を調べます
心雑音の原因を調べるために最も重要な検査が心エコー(心臓超音波検査)です。超音波を使って心臓の様子をリアルタイムに映し出すことができ、痛みも被ばくもありません。
当院の院長はエコー専門医として、弁の形や動き・血液の流れ方・心臓のポンプ機能まで詳しく評価します。「雑音の原因が何か」「心臓に問題があるかどうか」を受診当日にわかりやすくご説明します。
| 心エコーでわかること | 内容 |
|---|---|
| 雑音の原因 | 弁膜症・先天性心疾患・心筋症など、どの病態が原因かを特定します |
| 病気の有無・重症度 | 弁の開き具合・逆流の量・狭窄の程度を数値で評価します |
| 心臓の大きさ・機能 | 心臓が肥大していないか、ポンプ機能が低下していないかを確認します |
| 経過観察の間隔 | 軽症なら「1〜2年に1回の観察でよい」、重症なら「早めに治療を」と判断します |
※ 心エコー検査は受診当日に実施・結果説明が可能です(予約状況による)。
心雑音の原因として多い病気
心雑音が弁膜症によるものと判明した場合、それぞれの病気に応じた管理・治療が必要です。当院では以下の弁膜症を専門的に診療しています。
| 病気 | 概要と当院での対応 |
|---|---|
| 大動脈弁狭窄症(AS) | 加齢による弁の石灰化が主な原因。無症状のうちから定期的な心エコーで進行を監視します。重症化した場合は手術・TAVIへご紹介します。→ 詳しくは「大動脈弁狭窄症」ページへ |
| 僧帽弁閉鎖不全症(MR) | 弁がきちんと閉まらず逆流が起きる。薬による症状管理・心エコーフォローを行います。手術が難しい方にはマイトラクリップのご相談も可能です。→ 詳しくは「僧帽弁閉鎖不全症」ページへ |
| 大動脈弁閉鎖不全症(AR) | 大動脈弁からの逆流。長期間にわたり無症状のまま進行することがあり、定期的なエコー管理が重要です。 |
| 僧帽弁狭窄症(MS) | 弁の開きが悪くなる。心房細動を合併しやすく、抗凝固療法の管理も行います。 |
よくある質問
Q: 心雑音があると言われましたが、症状がありません。受診する必要はありますか?
はい、一度は心エコーで確認することをお勧めします。弁膜症は自覚症状が出る前から心臓への負荷が続いています。「症状がない=大丈夫」ではなく、「今の段階でどのくらいの状態か」を把握しておくことが、適切なタイミングでの治療につながります。
Q: 子どもが心雑音を指摘されました。心配ですか?
子どもの心雑音の多くは機能性(無害性)雑音で、成長とともに自然に消えることがほとんどです。ただし、先天性心疾患が原因のケースもあるため、一度心エコーで確認しておくと安心です。
Q: 以前「問題ない」と言われた心雑音が、また気になっています。
年齢とともに弁が変化し、以前は問題なかった雑音が弁膜症へと進展することがあります。特に50代以降で再び気になる場合や、息切れ・動悸などの症状が出てきた場合は、改めて心エコーで確認することをお勧めします。
Q: 健診の心電図では「異常なし」でした。心雑音も大丈夫ですか?
心電図と心エコーは調べる内容が違います。心電図は「心臓の電気的な活動(リズム・不整脈)」を見るもので、弁膜症の有無は確認できません。心雑音の原因を調べるには、心エコーが必要です。
まとめ
「心雑音を指摘されたが放置している」「症状はないが一度きちんと調べたい」「子どもの心雑音が心配」――そのようなお悩みがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
当院では、エコー専門医である院長が心エコーで原因を丁寧に評価し、「経過観察でよいのか」「治療が必要な段階か」をわかりやすくご説明します。弁膜症と診断された場合も、薬による管理から専門施設へのご紹介まで、継続して対応します。
