動悸・不整脈
東松戸クリニック副院長の中島佑樹です。
「心臓がドキドキしたり、脈が飛んだりするけれど、しばらくすると治まるから様子を見よう」 「健診で不整脈と言われたけれど、自覚症状がないから大丈夫だろう」
そのように考えてはいませんか。 動悸や不整脈は、心臓の鼓動がリズムを崩しているサインです。なかには、放置すると将来的に脳梗塞や心不全といった大きな病気に繋がるものも隠れています。
私はこれまで多くの不整脈の患者さんと向き合ってきました。その経験から、動悸がある方はもちろん、症状が消えてしまった方にこそ知っていただきたい大切なポイントをお伝えします。
受診の目安:どのようなときに相談すればいいですか?
不整脈は、病院に着いた時には症状が消えていることがよくあります。「今は苦しくないから」と遠慮せず、以下のようなことがあれば一度ご相談ください。
- 脈が不規則に打つ、バラバラな感じがする
- 以前はドキドキしていたのに、最近は症状がなくなった(※注意が必要です)
- 脈が「飛ぶ」感じがして、胸のあたりに違和感がある
- 突然心拍数が上がり、胸がバクバクす
- 健康診断の心電図で「心房細動」や「期外収縮」などの異常を指摘された
不整脈の主な種類と、見逃してはいけないサイン
心房細動(しんぼうさいどう)
心臓の上の部屋(心房)が細かく震え、脈が完全に不規則になる不整脈です。
- 特徴:最初は動悸を感じますが、長く続くと心臓がそのリズムに慣れてしまい、動悸を感じなくなることがあります。「治った」と勘違いしがちですが、実はここからが危険です。
- リスク:心臓の中に血の塊(血栓)ができやすくなり、それが脳へ飛ぶと重い脳梗塞を引き起こします。また、心臓が常に震えていることで負担がかかり、心不全に繋がることもあります。
- 当院での対応:まずは脳梗塞のリスクを正しく評価します。血液をサラサラにするお薬の検討や、不整脈を根本から治す「カテーテルアブレーション」が必要な場合は、適切なタイミングで基幹病院へご紹介します。
期外収縮(きがいしゅうしゅく)
本来のリズムとは異なるタイミングで脈が打つ、非常に頻度の高い不整脈です。
- 特徴:脈が一瞬飛ぶ感じや、喉のあたりが詰まるような感覚があります。
- 当院での対応:多くは放置しても大丈夫なものですが、なかには心筋症などの病気が隠れていることがあります。心エコー検査などで「治療が必要なタイプかどうか」を専門医の目で見極めます。
頻拍・頻脈(ひんぱく・ひんみゃく)
何の前触れもなく、突然脈が非常に速くなる状態です。
- 特徴:スイッチが入ったように突然バクバクが始まり、突然止まることがあります。
- 当院での対応:診察時に症状が出ていなくても、24時間心電図(ホルター心電図)などを用いて、日常生活の中での発作をキャッチします。
すぐに受診、または救急車を呼ぶべきサイン
動悸に加えて以下の症状がある場合は、命に関わる深刻な不整脈の可能性があります。
- 動悸と一緒に、目の前が暗くなるような「失神」や「強いめまい」があった
- 胸の痛みや圧迫感を伴う
- 激しい息切れがあり、顔色が青白くなっている
- 冷や汗を伴うような、経験したことのない異常な動悸
当院での診察・検査の流れ
患者さんの「今の心臓の状態」を多角的に調べます。
- 専門医による丁寧な問診
カテーテル治療の現場で培った知見を活かし、症状の出方から原因を推測します。 - 心臓超音波(心エコー)検査
心臓の動きを映像で確認し、不整脈の背景に心肥大や弁膜症、心不全などの病気が隠れていないかを痛みなく調べます。 - 24時間心電図(ホルター心電図)
小型の機械を装着し、ご自宅での生活の中での脈の乱れを記録します。 - 正確な診断と連携
当院で管理できる不整脈なのか、あるいは大きな病院でのカテーテルアブレーションが必要な段階なのかを、確かな目で見極め、必要時は迅速にご紹介します。
治療の考え方:脳梗塞と心不全を防ぐために
不整脈の治療で一番大切なのは、症状を止めることだけではなく、「将来の大きな病気を防ぐこと」です。
特に心房細動は、たとえ自覚症状がなくても、裏では脳梗塞のリスクが着々と進んでいることがあります。私はカテーテル治療の現場で、不整脈の恐ろしさを知っているからこそ、お一人おひとりのリスクを慎重に見極め、最善の道筋を示すことを使命としています。
よくある質問
Q. 症状がないのに「不整脈がある」と言われました。放置してもいいですか?
A. 症状の有無と、病気の深刻さは必ずしも一致しません。特に心房細動は自覚症状がないまま進行し、ある日突然、脳梗塞を引き起こすことがあります。一度は必ず専門医のチェックを受けてください。
Q. 以前に心房細動と言われましたが、最近は動悸がしません。治ったのでしょうか?
A. 残念ながら、不整脈が「慢性化」して、体が慣れてしまっただけの可能性があります。この状態でも脳梗塞のリスクは変わりません(むしろ高まることもあります)。自己判断で放置せず、検査を受けることが大切です。
Q. カテーテルアブレーションなどの手術が必要と言われませんか?
A. 全員に手術が必要なわけではありません。お薬でコントロールできる場合も多いです。もし手術が必要と判断した際も、なぜ必要なのか、どのようなメリットがあるのかを丁寧にご説明し、納得いただいた上で専門病院へご紹介します。
最後に:その「違和感」を大切にしてください
心臓のリズムの乱れは、自分ではなかなか正体が分からないものです。 「これくらい大丈夫」と我慢したり、「症状がなくなったから安心」と放置したりせずに、ぜひ一度、当院へご相談ください。
私は、これまで培ってきた専門知識と経験を、地域の皆さんの安心を守るために使いたいと考えています。あなたの健やかな鼓動を守るために、一緒にこれからのことを考えていきましょう。
