インスリン療法
INSULIN THERAPY
インスリン療法を、
導入から安心して続けられるように
「インスリンは怖い」「一度始めたらやめられない」——そんなイメージをお持ちの方も多いですが、実際は細い針でほとんど痛みがなく、状態が改善すれば中止できることもあります。当院では、導入から自己注射の指導・その後の調整まで一貫してサポートします。
インスリン療法とは
インスリンは、血糖を下げる唯一のホルモンです。糖尿病でインスリンが不足したり効きが悪くなったりすると血糖が上がります。インスリン療法は、不足したインスリンを注射で補い、血糖を適切にコントロールする治療です。飲み薬で十分に血糖が下がらない方や、一時的にしっかり血糖を下げたい方などに用います。
こんな方に検討します
- ✅ 飲み薬を十分に使っても血糖(HbA1c)が下がらない
- ✅ 血糖が非常に高く、早く下げる必要がある
- ✅ 1型糖尿病など、インスリンが体内でほとんど作れない
- ✅ 手術・感染症・妊娠などで一時的に必要
- ✅ 飲み薬が体質的に使いにくい
「怖い」を解消する3つのポイント
| 針はとても細い現在の注射針は髪の毛ほどの細さで、痛みはごくわずか。お腹などの皮下に手軽に打てます。 | やめられることもある血糖が改善し、自分のインスリンが回復すれば、飲み薬に戻したり中止できる場合もあります。 |
| 低血糖にも備える低血糖の見分け方・対処法を丁寧に指導します。心配な点は何でもご相談ください。 | 導入から管理まで一貫当院で導入から自己注射の指導、その後の用量調整まで対応します。 |
インスリン製剤の種類
作用の長さによって使い分けます。患者さんの生活リズムや血糖の状態に合わせて、できるだけ負担の少ない方法を選びます。
| 分類 | 主な製剤(商品名・一般名) | 特徴 |
|---|---|---|
| 持効型(基礎インスリン) | トレシーバ(デグルデク)/ランタス・ランタスXR(グラルギン)/レベミル(デテミル) | 1日1回、長くゆるやかに効き、1日の土台の血糖を整えます。 |
| 週1回 持効型(基礎インスリン) | アウィクリ(インスリン イコデク) | 世界初の週1回投与の基礎インスリン。注射回数を大幅に減らせます(2025年発売)。 |
| 超速効型(追加インスリン) | ノボラピッド(アスパルト)/ヒューマログ(リスプロ)/アピドラ(グルリジン)/フィアスプ・ルムジェブ(より速効) | 食事のたびに打ち、食後の血糖上昇を抑えます。 |
| 速効型・中間型 | ヒューマリンR・N/ノボリンR・N | 従来から使われるタイプ。状況に応じて使用します。 |
| 混合型 | ノボラピッド30/50/70ミックス/ヒューマログミックス25・50/ライゾデグ配合 | 持効型と速効型をあらかじめ混合。注射回数を減らせます。 |
| 配合注射薬(インスリン+GLP-1) | ゾルトファイ(デグルデク+リラグルチド)/ソリクア(グラルギン+リキシセナチド) | インスリンとGLP-1を1本に。1回の注射で両方の効果が得られます。 |
※ 製剤は一例です。患者さんの状態・生活リズムに合わせて最適なものを選びます。
導入の流れ
- 説明・相談:なぜインスリンが必要か、不安な点を丁寧にご説明します
- 自己注射の指導:注射器(ペン型)の使い方を、実際に練習しながら覚えていただきます
- 血糖測定の指導:必要に応じて血糖の測り方もお伝えします
- 用量の調整:血糖の変化を見ながら、少しずつ最適な量に調整します
- 継続フォロー:定期的に血糖・体調を確認し、減量・中止の可能性も検討します
⚠️ 低血糖について
インスリン使用中は低血糖(冷や汗・動悸・手のふるえ・空腹感など)が起こることがあります。当院では見分け方とブドウ糖での対処法を必ずご説明します。シックデイ(体調不良時)の対応もお伝えしますので、ご安心ください。
よくあるご質問
インスリン治療の主なパターン
患者さんの状態・生活スタイルに合わせて、注射の回数や組み合わせを選びます。当院ではできるだけ少ない回数から始め、負担を抑えることを大切にしています。
| 方法 | 回数 | 特徴 |
|---|---|---|
| 飲み薬+持効型1回(BOT) | 1日1回 | 最も導入しやすい方法。飲み薬を続けながら、土台の血糖を整えます。 |
| 混合型2回法 | 1日2回 | 朝夕の食前に注射。回数を抑えつつ食後血糖もカバーします。 |
| 強化インスリン療法 | 1日4回 | 持効型1回+毎食前の超速効型。最もきめ細かく血糖を調整できます。 |
注射のコツ(部位とローテーション)
正しく打つことで、効果が安定し、トラブルを防げます。指導の際に実際に練習しながらお伝えします。
主な注射部位(お腹・上腕・太もも・お尻)
| 打つ場所お腹・太もも・上腕・お尻の皮下に打ちます。お腹は吸収が安定しやすく、よく使われます。 | 少しずつずらす毎回2〜3cmずらして打ちます。同じ場所ばかりだと皮膚が硬くなり、効きが悪くなることがあります。 |
インスリンの保管方法
- 未使用:冷蔵庫(2〜8℃)で保管。凍らせないでください。
- 使用中:直射日光を避け、室温で保管(おおむね4週間が目安)。持ち歩きも可能です。
- 注意:高温の車内などに放置しないでください。効果が落ちることがあります。
血糖の測定・CGMとの併用
インスリン療法では、血糖の動きを把握することが大切です。指先で測る血糖自己測定(SMBG)に加え、当院では持続血糖測定(CGM)も活用できます(2026年7月導入予定)。24時間の血糖変動を見える化することで、インスリンの量やタイミングをより安全・正確に調整できます。
⚠️ 低血糖が起きたときの対処
冷や汗・動悸・手のふるえ・強い空腹感などを感じたら、すぐにブドウ糖10g(または砂糖、ジュース約150mL)をとってください。15分たっても改善しなければ、もう一度同じ量をとります。意識がもうろうとする場合は周囲の助けを呼んでください。
※ 低血糖を繰り返す場合はインスリン量の調整が必要です。我慢せずご相談ください。
費用の目安
インスリン療法は保険診療で行います。製剤・注射回数・血糖自己測定の有無により異なりますが、3割負担の場合で月およそ3,000〜15,000円程度が目安です。具体的な費用は受診時にご説明します。
関連する診療
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